体をいたわるように
初夏に入って、アトピーが悪化して来院する患者さんが増えてきました。最初は季節の変わり目と考えましたが、分析してみると、進学、転勤を機に悪化したケース多かったです。つまり環境の変化で、ストレスが主な原因として症状を悪化させたのです。特に サラリーマンの場合、新天地で頑張らないといけないとの思いから、症状が悪化しても 、薬が切れても、ずるずる1ヶ月以上遅れて、満身創痍となって来院されます。アレルギー検査では確かにハウスダスト、ダニ、タマゴ、ミルクなどがかなりの割合でアレルゲンとして検出されますが、そこにストレスを加えると、まさに鬼に金棒、アレルギー 反応が一気に賦活されるのです。
アトピーに限らず糖尿病や高血圧などもストレスによる悪化が以前から知られています。ただ競争社会の中で、ストレスを減らすことは容易ではありません。私が提案するのはスローライフとスローフードであります。今の暮らしの中で、ほんの少し工夫すれば 、心に余裕を持って過ごすことができるはずです。それに関連する記事や解説はネットや雑誌で多く取り扱われているので、この紙面では割愛しますが、1年前のある新聞記事を思い出します。アメリカにあるマクドナルドのCEOベル氏が44歳の若さで亡くな ったとのことです。このベル氏がオーストラリア出身で、15歳からマクドナルドでア ルバイトとして働き、43歳でアメリカ以外の出身者として初めて本社のトップまで上り詰め注目されました。因みに前任者も60歳で急死しています。私が思うには、速い生活リズムの中で、ファストフードを数十年間も食べていれば、体調が崩れるのも無理ないでしょう。実は私の周りや患者さんの中にもそれに近い人がいて、私は薬よりも体をいたわることを薦めております。休息は何よりのクスリです。
2006年7月