世界一の医療制度を守るために 

 

 当院は開設してから10年になります。この10年間で実感したのは日本の医療制度の素晴らしさです。国民皆保険という制度はおそらく世界中でもっとも優れているでしょう。しかし、現在この医療制度が揺らいでいます。2年前の小泉内閣が医療改革と称して、国民無視の財政優先路線、公的医療費抑制策を押し進めた結果、国民は医療費負担の増加を強いられることになりました。さらに、医師不足、病院の倒産で、産科、小児科が減る一方、高齢者は重病でも長期入院できない現状です。これからますます「医療難民」、「介護難民」が増えていくでしょう。それによる医療に対する不信と不安は、まさに小泉内閣が残した負の財産と言えましょ う。

 日本の医療達成レベルは、WHO(世界保険機構)から世界一と評価を受けています。本当に財政難で、公的医療費を削らなければいけなかったでしょうか?日本の対GDB(国内総生産)比総医療費支出を見てみまると、先進国30カ国の平均は8.9%、日本は 8.0%の22位です。経済大国と言われながら、医療費の比重は実に低いことがはっきり示されています。世界一の医療レベルを維持するためには、決して公的医療費を削減してはいけません。決して医療崩壊をきた してはなりません。

 新聞に目をやると、無駄な公共事業、天下り先への補助金、訳の分からない特別会計、それで60兆から100兆円の財政赤字を作ったそうです。また、戦争を放棄しているのに、政府が自衛隊を軍にしようと軍備費を増やし、戦闘機を作ったり、ミサイルを導入したりしています。 数ヶ月前、名古屋空港に墜落したF2戦闘機は、1機120億円以上かかります。迎撃ミサイルシステムとなると、1兆円以上かかります。必要だという人がいますが、考えてみてください。一般家庭で、家族の医療費が足りない状況下で、高い新鋭の防犯システムを入れますか?仮想敵は攻撃する能力も財力もないのに、それ以上の装備に金をかけて、 しかも防衛省事務次官の仕事と言えば、10年間300回以上ゴルフの接待を受けることだそうです。国民をばかにしているとしか思えません。

 公的医療費は削るのではなくて、役所の無駄遣いを無くし、無意味な防衛システムを減らせば、まず現状維持できますし、さらに増やすことさえ不可能ではありません。

 

                        2008年1月 

                           

 

 

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