国も医療もチェンジを期待 

 

 今年も日本のみならず、世界に大きな変化「Change」がありました。

 アメリカに続き、日本にも民主党政権が誕生しました。必然的な流れだと思います。なぜなら、バブルがはじけて以来、失業率や自殺者、企業の倒産など日本経済は史上最悪となり、自民党政権の誤った舵取りが次々に露呈されています。

 医療に関して医療費が年間2200億円の削減を実行され、中小病院が生き残れなくなり、医療崩壊の寸前まで追い込まれています。入院設備と人材の不足から救急車を受け入れられない現状をマスコミは「たらいまわし」とクローズアップし、病院が悪いと扇ぎ立てます。実態は医療スタッフのボランティア精神と過労働がなければ、今の医療体制は成り立ちません。人の命に携わる仕事にもかかわらず時給で計算すると、レジを打つアルバイトのほうが高いのです。一方、患者側も治療費の負担がどんどん増えて、1割から3割になり、先進国の中で一番悪い状況です(表1)。医療費の自然増は何も異常なことではありません。老人の増加と少子化は2、30年前にすでに予測できたのに、社会保険庁がなにも有効な措置を取らず、余った保険料を被保険者に払い戻したり、株を買ったり、娯楽施設を建てたり、将来性のないことばかりに使ってきました。今になってどうでしょう。ずさんな管理で宙に浮いた保険金が取り戻せる見込みはまったくありません。

表1     表2

 

 では、医療費の確保に何をすればいいのか、まず国内総生産高(GDP)の割合を増やします。8パーセントという数字は、先進国の中でまたもや一番低いです(表2)。そして無駄な公共事業を減らします。車が走らない立派な道路や飛ぶ飛行機がない空港があっちこっち建てられています。また国会議員の待遇も考え物です。私用にJRやJALをただ乗りしていますし、挙句の果てに、愛人を連れて特権を利用する議員もいました。さらに、戦争をしない国日本は、国民の知らないうちに、防衛費ばかり増やしてきました。役に立たないイージス艦や空中給油機をアメリカの言いなりに割高で買っています。20年前の中曽根内閣の時、防衛費が国民総生産高(GNP)の1パーセント突破で大騒ぎしていましたが、このごろは何パーセントになったでしょう。

 オバマ米大統領が核兵器の根絶を宣言して、ノーベル平和賞を受賞しました。もう一歩踏み込んで、アメリカ国内の銃規制も実現すれば、世界がもっと明るくなります。原爆の研究成果を挙げたアインシュタインでさえ、原爆に導いたことを後悔し、反戦運動の先頭に立ちました。いまだに核兵器は悪いものではないという輩がいます。なぜなら、包丁が殺人に使われることがあっても包丁が悪いわけではないからだといいます。しかし、本来包丁は料理に使いますが、核兵器は殺人以外に使う道があるでしょうか?広島・長崎共同の2020年オリンピック開催申請は核兵器の根絶をアピールする絶好のタイミングになります。国民の健康を守るために、充実した医療が不可欠です。すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有します(憲法25条)。医療従事者も、患者も、その家族も、一人ひとりが医療崩壊を阻止するために声を上げましょう。「It's time to change」。

 

                        2009年10月 

                           

 

 

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